以前から気になっていた「トヨタの片付け」。
「トヨタ」の名前は世界で知らない人はいないのではないかと思います。
表題の写真は私が現在住んでいるボストンにあるトヨタのお店です。
NYで有名なイエローキャブでもトヨタ・プリウスV(日本名:プリウスα)やトヨタ・カムリハイブリッドが主力車種になっています。
昨年末NYを訪れた時、目にする殆どの車がトヨタでした。
日本の車が活躍している!日本人としてとても誇らしく思えます。
世界中にトヨタの工場があり、そこで働く社員は多くの外国人であることは周知の通り。
片付けはトヨタ生産方式の基盤 だそうで
こんなに大きくなったトヨタの根底には
1. 片付けを一つの仕事としていること
2. トヨタで働く社員全員が毎日片付けができていること
この2つの万人にも出来る片付け法にあるからではないかと思うのです。
「人を責めるな仕組みを責めろ」
この一文が私は大変気に入っています。
なぜなら、トヨタの社員全員が片付けが得意というわけではないと思うからです。
片付けのトレーナーがいて、仕組みづくりがきちっと出来ているからこそ、全社員が同じように片付けられているからです。
つまり、どんなに片付け下手な人でも仕組みさえしっかり出来ていれば片付けられることを裏付けていると思うのです。
トヨタの成功の鍵となった「片付ける技術」が、こうして一般の私たちにも学べるというのはありがたいことですよね。
職場はもちろんですが、家庭にも応用できるエッセンスが沢山書かれていました。
これを今回は参考にしながら、自分の生活の片付けにも結びつけてみたいと思います。
(株)OJTソリューソンズとは
2002年4月、トヨタ自動車とリクルートグループによって設立されたコンサルティング会社。トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となり、トヨタ時代の豊富な現場経験を活かしたOJT(On the Job Training)により、現場のコア人材を育て、変化に強い現場づくり、儲かる会社づくりを支援する。
本社は愛知県名古屋市。60人以上の元トヨタの「トレーナー」が所属し、機械・食品・医薬品等の製造業に加え、金融業・自治体など、様々な業種の顧客企業にサービスを提供している。
(「まんがでわかる トヨタの方づけ」著者紹介欄より引用)
トヨタの片付けは「仕事」として取り組まなければならない
「あれがない」「これがない」
片付けられない人はいつも何かを探していますよね。
そして、片付け と聞くと
「仕事に関係ない雑務」「わざわざ時間を作ってやることではなく、時間に余裕ができたらやること」というイメージがあると思います。
でも片付けないと色んな弊害が出てくるのも事実。
特にムダが出てくるのでこれについて見てみます。
片付けないことで生じる4つのムダ
片付けができていないと本来発生しなかったはずのムダが多く生まれます。
ムダとは役に立たない、無益 という意味です。
私たちの家の中にもムダは見つかりますよね。
1 スペースのムダ
2 時間のムダ
3 間違えるムダ
4 取りに行くムダ
これを深掘りします。
スペースのムダ
モノを保管するには必ずスペースが必要になります。そしてモノが増えると更にスペースが必要になるので収納グッズを買ったりしますね。
でもこのスペース、タダではありません。家賃のうちのいくらかを、モノの置き場として支払っています。
最近、家のスペースが少ない人が利用する24時間出し入れ自由の「トランクルーム」や「レンタルボックス」がありますが、まさにそれと同じです。
もし家の中に不用品が眠っていたら、そのムダな不用品のために支払っているのと同じです。
時間のムダ
多くのモノがあふれていたり、モノを保管する場所が決まっていないと、必要なモノを探し出すのに時間がかかります。
例えば、通勤中改札口でパスケースを出さなければならない時、いつもバッグの中のこの辺とか上着のポケットとか決めていないと、サッと取り出せないですよね?急いでいるときに探してから出すのでは遅刻も避けられません。
これはパスケースを入れる場所が毎回違うために発生している、まさに時間のムダです。
時間のある人はそれでもいいかもしれませんが、もし誰かと一緒に行動していたら、相手の方に迷惑をかけてしまいます。
間違えるムダ
会議や商談の際に、間違った資料を用意してしまったら・・・。
会議の質の低下はもちろん、会議に同席する顧客や同僚からの信頼が低下するのは言うまでもありません。
家庭においてはスーパーでの買い物で
自分がセールとは違う商品をレジに持ってきてしまい、いざレジの人が打ち込むと正規の値段になっていて、自分が文句を言えば、レジの人がそれをチェックしに行くムダ。
そしてその様子を見ながら並んでいる他のお客さんはイライラ、自分もなんだか申し訳ない気持ちになったり・・・なんて経験は結構頻繁に起こりますよね。
取りに行くムダ
先日うちの娘の住むマンションの乾燥機が壊れ、うちのマンションのそれを借りにわざわざ来たのですが、コインランドリーに入れるコインをうっかり忘れてきたんです。
結局自分のマンションに戻るより近くのお店で両替してもらった方が早いということで近くのコンビニでおやつを購入してコインをゲット。時間とおやつのムダ遣いをしてしまいました。
トヨタの片付けの本には、最も多いのが机の上の片付けができていないことが挙げられていました。
最もアクセスの良い場所が不要なモノに占領され、頻繁に使用する書類や文具が取り出しづらい、あるいは遠い場所に置いてあると、そのつど 取りに行くことになりますよね。
例えばハサミが欲しい時、決まった所にあれば直ぐ取り出せますが、余計なモノがいっぱいで見つからなかったらそれを探す時間がかかってしまいます。
見つからなければ人のを借りに行ったりしなければなりません。
私は中学校時代の職員室を思い出しました。
キレイに整頓されている先生の机もあれば、山のように本が積み重なっている先生の机がありました。
みんなに配るプリントを、直ぐ出せる先生やら、なかなか見つからない先生やら、思い出すとキリがありません。
いつの時代も片付けに困っている人は多いんだな、と改めて思います。
OL時代の仕事でも思い出します。
私は昔、船会社と商社を行ったり来たりするブローカーという仕事をしていたのですが、
必要書類を直ぐにくれる人もいれば、「え〜〜〜っとどこだっけ?」となかなか書類が出てこない人もいました。
こんな時、机の上がキレイでサッと書類を渡してくださると、
「出来る人だな〜」という印象がありました。
「書類を探す時間」は積み重なると大きな問題になる
1日=30分 探し物に費やすと(1ヶ月で20日間、働くとすると)
1ヶ月=10時間(600分)
1年=120時間(7200分)
つまり、1年=15日をムダにしている!(1日8時間働くとして)
これ、トヨタ全体の人がやったらすごいロスですよね。
片付けは「仕事そのもの」で、一方「ムダ」は「宝」でもあると言います。
片付けをしてムダをなくしていくことで、大幅に仕事の効率や品質を向上させてくれるモノと考えているのですね。
片付け=要らないモノを捨てること 見た目をキレイにすること、ではない
片付けに関してよくある誤解(片付けと収納術はちがう)
私たちは片付けと収納術をよく混同してしまいます。
収納術は今あるモノをスッキリ整える整列や、多くのモノを限られたスペースに収納することを目指します。
断捨離が浸透する前に、いかに隙間を利用して細い棚を作り、とにかく沢山キレイに収納する、という時代がありました。
見た目はキレイですが、仕事の生産性にはプラスになりません。
その理由は、不要なモノが残ったままの状態だから。
不要なモノが残っていると、本来パワーを注ぐ必要がないものにも整える時間がかかり、更には保管場所まで拡大し、探す時間が増えスペースのムダが生まれます。
言ってみれば、見た目だけを取りつくろった厚化粧状態。
家の中のクローゼットの中を考えてみても、今日着たい服を選ぶ時、30着がかかっている所から選ぶより、10着かかっている所から選ぶ方が断然楽ですよね。
ですから、
片付け=「整理」=要るモノと要らないモノを分けて、要らないモノを捨てる
ことから始めます。
片付けはトヨタ生産方式の基盤
トヨタ生産方式は片付けが非常に重要視されています。
ジャスト・イン・タイムと自働化の2本柱で、
その基盤となるのが片付け(5S)です。
目的は原価低減
手法は
ジャスト・イン・タイム(生産性向上)とは
必要なものを
必要な時に、
必要なだけ、
生産する。
自働化(問題・異常の視(み)える化)とは
備品やコピー用紙の必要在庫量(=正常)を片付けで明確にし、その基準よりも増えた場合には(=異常)すぐわかる状態にする。
例えばトイレットペーパーが常に10個ある状態にしておきたければ、残り2つになったら買い足すと決めます。すると一番多い時で12個が正常。それ以上ある場合は買いすぎ(異常)ってことです。
基本理念は
徹底した無駄の排除、
たゆみない改善、
5S(=片づけ)
徹底してますね!
まんがでは、主な登場人物が3人。テレビ局の契約社員の由香と報道部のホープ記者岡部、報道部のデスク鹿沼の会話で話が進行していきます。
デスクの鹿沼はテレビ局をトヨタのような仕組みにしたいと思っています。
ホープ記者の岡部は片付け上手で、片付け下手の由香の指導に当たっています。
岡部 「必要書類は10秒で出せるようにしておくのが基本だ。」
由香 「10秒? そんな無茶な・・・」
岡部 「お前が自分の周りをきちんと整理できていないことが自分の時間のムダを生み、他人に迷惑をかけ、仕事が遅れることにつながったんだ。
自分が片付けをできてないことで人の時間を奪ってるんだぞ。」
由香「一体5Sって何なんです?」
鹿沼「5Sってのは片づけの基本さ。 トヨタが世界最強と言われる製造現場を作った大きな要因の一つと言われている。」
由香「えっ 本当ですか?」
鹿沼「ああ トヨタでは『何事も5Sから』『5Sは仕事そのものである』って教わるそうだ。整理 整頓 清掃 清潔 しつけ 頭文字Sが5つで『5S』だ。
鹿沼「5Sが現場に定着すると、安全の確保、品質の安定、従業員のマネジメントなど多くの企業が抱える悩みが改善すると言われている。」
由香「そんなに重要なことだったんだ。」
片付けの基本「5S 」とは
以下の5つの言葉の頭文字がSから始まるので5Sです。
① 整理(せいり)
「いるもの」と「いらないもの」を分け、
「いらないもの」は捨てること
② 整頓(せいとん)
「必要なもの」を「必要なときに」「必要なだけ」取り出せるようにすること
「何が」必要なのか
「いつ」必要なのか
「どのくらい」必要なのか
③ 清掃(せいそう)
キレイに掃除すること、日常的に使うものを汚れないようにすること
・掃除をする時間を作る(例)朝礼後、毎朝9時から10分必ず掃除する
④ 清潔(せいけつ)
整理・整頓・清掃した状態を維持すること
⑤ しつけ
整理・整頓・清掃についてのルールを守らせること
「捨てられない」から「捨てるしくみ」をつくる
岡部「片付けは習慣にしない限り、永遠に片付いた状態にはならない。
1日10回30秒モノを探すのが当たり前になると、1年365日では10万9500秒、すなわち30時間以上の時間をムダ遣いしていることになる。
しかも仕事では上司や取引先に渡す仕上げが5分間に合わないだけでも、続きの工程は明日、なんてことはザラだ。積み重なれば丸1日どころか1週間、1ヶ月の遅れが生まれてくる。
「ほしいモノを」「ほしい時に」「ほしいだけ」取り出せる。
それが片づいている状態だ。
要らないモノが混ざっていては探す時間がムダになる。だからまずは「捨てる」から取り掛かることが大事なんだ。」
由香「はい、わかっているんですが、できない・・・」
岡部「それなら捨てる仕組みを作ればいい。」
由香「捨てるしくみ・・・ですか?」
岡部「何を残して何を捨てたらいいかわからないという状況は、捨てる基準がないから生まれるんだ。その結果いるかもしれないしいらないかもしれないモノが発生する。
それを毎回いるかいらないかと判断するのは大変だからとりあえず置いておこうという放置も生まれる。
例えば、書類を
①今使うもの ②いつか使うもの ③いつまでたっても使わないもの
に分類するとしたらどれだ?
②の「いつか使うもの」だが…いつまでに使うんだ?
由香「はっきりいつとは分からないけど…」
岡部「それを持っていることによって将来、何か行動する機会が発生しうるかどうか」を聞いてるんだ。その資料を使って将来行動する予定があるのか?」
由香「そう言われると…」
岡部「家を大掃除していると運動器具や美容グッズが見つかることがあるよな?
『せっかく買ったんだしこれは取っておこう』なんてまた押し入れの奥にしまってるだろう?」
由香「な、なんでわかるんですか?」
岡部「だが見つけてまた元の位置にしまうじゃ持っていないことと同じじゃないか。
それまでは運動や美容のことなんて忘れていたのに? 実物を見たから思い出したんだろう?
そんな何の行動にもつながらない場所だけふさぐモノを大量に保管しておくことに何の意味がある?」
みんな「いつか使うかも」で悩む。あるあるですね〜
こんな時、トヨタでは
1週間たっても誰も手をつけないものは不要なものと判断して処分する部署があるそうです。
「要るモノ」と判断したものすら期限を決めて保管し、それが過ぎても使われないなら捨てる
という仕組みを作ることが重要。
さもないとスペースがムダなのはもちろんモノによっては倉庫代や税金まで余計にかかりムダな支出になるわけです。
鹿沼「人を責めるな、仕組みを責めろ。 人間は失敗する生き物だし、ついそれを隠そうとしてしまう。
だが、改善したいという意欲があるなら、人を責めても何も生まれない。
萎縮したり、ふて腐れたり、ミスを隠したりするようになるだけだからな。」
岡部「要はやる気があるならうまくできなくても人間に罪はない。
悪いのはできるようになっていないしくみだってことだ。」
由香「悪いのは私ではなくしくみ・・・」
岡部「お前が片付けに取り組もうという意識を持ち始めたのならもう俺は何も言わない」
トヨタでは片付けが出来ない人を責めることはせず、出来ないしくみを責めるところがカッコイイですね。
「しくみ」は片付けの救世主 モノを捨てられない人の心理は?「しくみ」で心のストレスは軽くなる
人は、まずいものは隠したい・目にしたくないという心理を持っています。
① 発注ミスで購入してしまった備品のように「責任から逃げたい」もの
② 前任者から引き継いだものの今後の使用予定がわからず、捨てる判断もつかないという「判断から逃げたい」もの
放置は②でモノを隠して問題を先送りすることで判断から逃げたい。
また可能であれば、余裕を持っておきたいという心理が働きます。
だから余分にモノを確保してしまうという行動になるんですね。
そこで、この心理的なプレッシャーから解放してくれるのが「しくみ」です。
しくみがあれば、まず、そのつど人が判断する必要がなくなります。
そして、万が一問題が発生した場合にも、個人を責めるのではなく、しくみを検証することで問題解決を図れます。
しかし、「しくみ」は単に作ればいい訳ではなく、「モノを捨てられない心理」について考慮すべきポイントがあります。
捨てる基準は ・今使うもの
・いつか使うもの
・いつまでたっても使わないもの
このいつか使うものがクセモノで「いつになったら、使わないという判断ができるか」という点から考えるのが大原則ですが、
「余裕を持ちたい」「判断から逃げたい」という気持ちが出てきて、「使わない」と判断できる期限よりも私たちは長い期限を設定しがち。
捨ててしまったことで、万が一にでも自分が責められるのが嫌だからなんですね。家の場合だと自分が後悔するのが嫌、ってことですね。
本書のアドバイスとしては、
まずは、いったん長めの期限で設定しましょう、と書いてあります。
本来、「1ヶ月後でまで使わなければ廃棄」で良い場合も、心理的抵抗が強ければ「2ヶ月後」とします。
そして、「2ヶ月」→「1.5ヶ月」と徐々に期限を短くしていきます。
そうすることで、心理的な抵抗にも対応しつつ、問題の解決も図ることができるのだそうです。
最初は多少ゆるい基準でも、まずは設定することが重要。
一度決めた基準は未来永劫そのままの形である必要はなく、少しずつ改善していけばいいみたいです。
私たちがよくやる「とりあえずボックス」は期限を長めに設定すればいいんですね。トヨタの片付け術は会社からの一方的な命令ではなく、社員の心理的な抵抗まで考慮して仕組みづくりをしているのがよくわかりますね。
「モノが溜まらないしくみ」をつくる
先ほどのトイレットペーパーの在庫管理と同じように、
他の雑貨や食品も、
「最後の一つを使い始めたら次のを買い足す」
みたいなしくみを家庭でも作っておくといいですね。
例 日用品リスト
石けん 3
歯磨き粉 4
リップクリーム 5
Boxティッシュ 4
キッチン洗剤 2
スポンジ 3
ラップ 2
アルミホイル 2
こんな感じで数えて記録してみるのが大事です。
ダブりがたくさん見つかるかもしれません。
モノも時間も、「適量」にすればムダを生まずに済みますね。
(盲点)パーティションを作ってしまうと
「陰」や「隅」ができると人はついそこにモノを置いてしまう。(これは吹きだまり)
⬇︎
パーティションを取り除くと吹きだまりになったものが目につき、「邪魔なもの」として自然に見える
⬇︎
片付けなきゃという気持ちになる
(盲点)壁
壁はパーティションのような仕切りと違って動かせないから特にモノが溜まりやすい。
(盲点)引き出しの奥
引き出しの奥は「陰」なのでここにもモノが溜まりやすい。
家の中でも掃除をサボると、壁際にホコリが溜まりますよね。
引越しの後、壁の隅に段ボールを置いたら最後、開けないままそのままになってしまうことも・・・。
陰になりやすいパーティション、壁、机の引き出しの奥はモノが溜まりやすいから注意すべきですね!
「人の動きを助ける配置で」整理する(=整頓のコツ)
整頓で片付け効果を倍増させる!!
整理でいらないモノを捨てることで、スペースのムダなど、いらないモノがあることで生まれるムダは無くなりました。
整頓では、必要なモノを必要なときに必要なだけ取り出せることがゴール。
必要なモノを適切な状態で保管することで、取りに行くムダなどを最小限にします。
整頓に関する原則が2つあります。
・保管場所は、使用頻度と動作経済で決める
・保管場所が決まったら、次は三定(さんてい)
保管場所は、使用頻度と動作経済で決める
「動作経済」を簡単に言うと、
よく使うものはできるだけ取り出しやすい場所に置く
ということです。
「動作経済」とは、高い生産性で作業を行うために研究されたモノで、ものは手足や目線の動きにできるだけ無理がない場所に配置することが効果的、という内容です。
手の動きから見ると、片付けたり取り出したりする際に、ひっくり返したり場所の微調整をする必要がないようにします。
目線から見ると、顔より上の位置にモノを置く場合には、下や横から見てもわかりやすくします。
⬇︎表面に斜めの印を付けておくと出した後、しまう時にも楽ですね。
出典:まんが「トヨタのかたづけ」
目線より下の場所に保管する場合には、
例えば大中小のクリップを置く場合、大きさごとに分けて紙コップに入れ、それぞれに大中小の小さなラベルを紙コップに付けるなどして上から見ても一目瞭然にすることです。⬇︎
出典:まんが「トヨタのかたづけ」
このような工夫をすることで、動作のムダがなくなるだけでなく、気遣いや迷いなどの精神的な負荷もなくなり、より片付けが継続しやすくなります。
片付けの継続には極力ムリがない状態にすることが重要です。
保管場所が決まったら次は三定(さんてい)「子供でも分かる」がポイント
三定(さんてい)とは
定位置(決まった場所に)
定品(決まったモノを)
定量(決まった量だけ保管する) ことです。
ひとり住まいであれば、自分で全てを決められますが、会社や家庭では共有物に関しては自分だけでは決められません。
トヨタでは誰が休んでも散らからないように三定があります。
例えば、姿置きと言って棚の上にビニールテープをそのモノの形に沿って貼り付け、使ったら戻せるようにしておきます。
家庭では玄関のたたきにビニールテープを四角く枠を作れば、子供でもそこに置くようになりますね。そんな感じです。
あと、ロッカーの引き出しの表面には入っているモノのラベルを貼ったり、壁にロッカーの中のマップを作り、そのマップの図を見ればどこに何があるか分かるようにしておきます。
もし、家で奥さんが寝込んだり実家に帰ったら、旦那さんがキッチン扉の裏に貼ってあるマップを見ればどこに何が入っているかが分かりますよね。
そして、パソコンの中のホルダーにもトヨタは気を配ります。
誰がパソコンの前に座っても、目的ファイル がすぐに見つかるようにキレイに並んでいます。
メールの整理の仕方では4種類のホルダーに振り分けます。
・削除 一度読めばOK
・一時保管(2ヶ月など)削除はなんとなく心配
・業務別 半永久的に保管が必要
・受信 すぐに対応できない
1つ目はフォルダへの振り分けは自分自身で判断すること。
自動メール振り分け機能を使うとフォルダに振り分けられたまま放置されることも多く、結局はどんどんメールが増えていきます。
モノの片付けと同じくデータの片付けも「いるモノ」「いらないモノ」を自分自身で判断することが必要です。
2つ目は心理的抵抗に配慮すること。
一読して内容を把握したメールも、万が一必要になった時に「削除しました」と言いづらく削除できないこともあります。
その場合には「一時保管」のフォルダに入れることで、その心理的抵抗をなくします。
保管期限になったら削除することで、不要なメールの増加が避けられます。
そうじは具体的な指示で「キレイ」のゴールを明確にする
片付けの維持定着のための5つのポイント
責任者を明確にする(責任者はお母さん)
リーダーが率先垂範し、定期的に全員で取り組む
このリーダーは家庭でいえばお母さんですね。
一度はキレイに片付いても放っておけば元に戻ってしまいます。
それを避けるためには見張り役が必要ですね。
全員(家族全員)で取り組むこと
例外を作ると乱れにつながります。
実際に手を動かすことは片付けを自分の仕事として取り組む効果があります。
年末の大掃除などを一緒に行うことで「みんなで一緒に取り組んでいるんだ」という一体感も生まれますね。
定期的に活動をすること
一度は理想的な状態になっても、時間が経てば新しいモノが増えるし、職場のゴミやホコリも出てきます。
年に数回ある長期休暇の前後や毎週の決まった曜日などを決めて定期的に掃除する必要がありますね。
具体的チェックリストを作成すること
キレイの基準は人によって様々なので、その目線合わせが必要になります。
チェックリストの作成方法は、場所ごと、5Sの項目ごと、など部署によって工夫が可能。
部署のメンバーで話し合いメンバーの一人が作ればトップダウンの押し付けにならずみんなが納得して取り組めるので効果が高いですね。
家庭なら、リビング・キッチン・子供部屋・洗面所など責任者を決めて作ってもいいですね。
5Sパトロールを行うこと
最初に作ったチェックリストを使い、5Sがきちんとできているかを確認します。
実際には、リーダーが対象場所をチェックする、メンバーや職場同士で相互チェックをするなで、様々な方法があります。
最初はチェックするタイミングを明確にして実施し、ある程度慣れた段階で抜き打ちチェックをする方法も有効です。
キレイを維持するためには常にこういう努力が必要なんですね。
どんなに意識が高い人でも、たった一人で職場をかえ、それを維持定着させることは困難です。
トップの後押しを受けて責任と権限を持ったリーダーのもと、例外なく全員が手足を動かして定期的に5Sに取り組む。
そしていつも誰かにチェックされているという緊張感が片付けを定着に導くのですね。
「トヨタの片づけ」から学んだことのまとめと本の紹介
3つのポイント
1、片付けは雑務ではなく仕事そのものである
うまくいっていない会社やお店ほど、片付けが上手くいっていないと言います。
モノの置き場が決まっていない ➡︎ 整頓、しつけができていない ➡︎ 業務効率が悪い会社だろう ➡︎ 商品の品質、安全に疑問を持たざるを得ない ➡︎ 会社や社員のレベルがわかってしまう
片付けができていないと本来発生しなかったはずのムダが多く生まれます。
ムダとは役に立たない、無益 という意味で4つあります。
1 スペースのムダ
2 時間のムダ
3 間違えるムダ
4 取りに行くムダ
2、モノを持つことはコストにつながる
片付けの苦手な人は 身の回りをきれいにすること程度の認識しか持っていない。
片付けの基本は5Sです。
① 整理(せいり)
「いるもの」と「いらないもの」を分け、
「いらないもの」は捨てる 判断基準が必要 ➡︎ トヨタはこれを時間で判断する
・今使うモノ
・いつか使うモノ ➡︎ 期限を設ける 1週間後、1ヶ月後
・いつまで経っても使わないモノ ➡︎ 保管期間をできるだけ短く期限をできるだけ間近に設定を心がける
② 整頓(せいとん)
「必要なもの」を「必要なときに」「必要なだけ」取り出せるようにすること
要るものを使いやすい場所にきちんと置くこと
③ 清掃(せいそう)
身の回りのものや職場をきれいに掃除をして、日常的に使うものを汚れないようにし、いつでも使えるようにすること
④ 清潔(せいけつ)
整理・整頓・清掃を維持し、誰が見てもキレイでわかりやすい状態に保ち、きれいな状態を保とうという気持ちにさせること
⑤ しつけ
整理・整頓・清掃についてのルールを守らせること
3、人を責めるな仕組みを責めろ
人間の心理として人はミスなど他人に知られたくないので都合の悪いものは部屋の隅などに隠してしまう。しかしこれでは問題が見えないので会社にとっては大きな損害になる。
こうした人間の心の弱い面を理解した上で仕組み作りをする。
誰がやっても上手くいく仕組みを作る必要がある。
誰がやっても同じクオリティになる基準の共有、教育の仕組みが必要。
いかがでしたか? 家庭でもすぐに実践しそうなことが沢山ありましたね。
もし、興味が沸いたら以下の本を是非読んでみてくださいね。
読む価値のある本ばかりです。
トヨタの片づけの本 色々
⬅︎このブログはこちらのまんがを基にして書かせて頂きました。
⬅︎家庭にすぐ活かしたかったらこちらですね!