断捨離で何かを手放す時、どうしてももったいない、と思ってしまいます。
この気持ちはモノにしても仕事にしても人間関係にしても当てはまります。
「もったいない」は日本人の素晴らしい文化であると同時に、時には「もったいない」と思ってしまったがために人生の後悔をすることもあります。
今回はこの「もったいない」をサンクコストバイアスに当てはめて解決していく方法をお伝えします。
断捨離の「もったいない気持ち」は執着であり、サンクコストバイアスとよく似ている
断捨離の意味とサンクコストバイアスの意味
「断捨離」とはやましたひでこさんの登録商標で
モノへの執着を捨てることが最大のコンセプトです。
モノへの執着を捨てて、身の周りをキレイにするだけでなく、
心もストレスから解放されてスッキリするのが断捨離です。
やましたひでこ さんとは
・クラターコンサルタント
・東京都出身 石川県在住 早稲田大学文学部卒業大学在学中に入門したヨガ道場で心の執着を手放す行法哲学「断行・捨行・離行」に出会う。その後、この行法を日常に落とし込み片付け術として応用提唱する。2001年よりクラター・コンサルタントとして「断捨離セミナー」を開催。年齢、性別、職業を問わず幅広い層から圧倒的な支持を得ている。著書にベストセラー「新・片づけ術 断捨離」(マガジンハウス)、「新・生き方術 俯瞰力」(マガジンハウス)、「新・ココロの片づけ術 自在力」(マガジンハウス)などシリーズ累計300万部を突破。
出典(断捨離 やましたひでこ 公式サイト)
サンクコストバイアス(=コンコルド効果)とは、簡単に言うと もったいない心理のことです。
今までかけた費用や時間や労力を考えると回収不可能なので、もったいなくてやめられなくなってしまうこと。
そして、辞めなかった事を後悔してしまうケースが多い事です。
サンクコストとは、経済行為を中止、撤廃など、どんな策を尽くしても回収できない費用のこと。経済学の概念で埋没費用と訳され、個人の株式投資や企業の新規プロジェクトなどにおいて、継続や中止を判断する際の材料となります。
それまでに費やした資金や時間などを惜しんで事業を継続すると、損失が拡大する可能性があることから、事業継続の判断材料としてサンクコストを無視するのが合理的とされているのです。
コンコルド効果(Concorde Effect)とは、このまま投資を進めると損失が出ると分かっていても、これまでに投資した分を惜しみ、ついつい投資を継続してしまう心理的傾向のこと。
ファイナンスや経済学でもよく使用されている用語で、別名、「サンクコストバイアス」ともいいます。先入観などから判断が歪められることを「認知バイアス」といい、コンコルド効果もその一種なのです。
コンコルド効果という名称は、過去に英仏で共同開発が進められた超音波旅客機コンコルドから来ています。
コンコルドは赤字になると見込まれていたにもかかわらず、開発が進められました。しかし、その負債の大きさから開発は中止に追い込まれ、さらに開発会社は倒産したのです。また、商業的にも成功する見込みのないまま、2000年まで運航は継続されました。
(出典)カオナビ人事用語集
日常生活にはサンクコストバイアスの例が沢山ありますので色々挙げてみます。
サンクコストバイアスの具体的な例:その1「本当はピアニストになりたくなかった」
これは私の従妹の本当にあった例です。
住んでいるところがお互い遠かったので、小さい頃しか会えず、結婚式の時にやっと再会できました。
私の従妹は小さい頃からピアノが上手でした。お母さんがピアノの先生だったせいもあり、ピアニストになるべく育てられ、本当にピアニストになりました。
しかしです・・・本人は全然楽しくなかったんですね。お母さんの期待に応えようと、お母さんを喜ばせようと必死だったと言っていました。
これ、結婚式の後に本人の口から聞き、ショックだったのを覚えています。
子供の時から毎日のお母さんのスパルタ指導。行きたくもない留学をさせられ、それにかかった費用を考えたら途中でやめられませんよね。
才能と本人の努力があったからなれたわけで、誰でもなれるものでもありません。
もし「途中で辞めたい」と本人が言ったら、
「えー、もったいない!」と周りの人もきっと止めますよね。
本人はきっと辛かったと思います。途中で本当にやりたい事も出来ず、後悔だけが残ったわけですから・・・。
これがサンクコストバイアスです。
でも結婚を機にピアニストの仕事は辞めたみたいです。周りの意見がどうであれ、人生は本人のものです。自分が幸せと思わなければ全く意味がありません。
そして自分が 違うことで生きていく と決断したら、自分が一番の味方でいる必要があります。自分のことを一番分かっているのは他ならぬ自分自身なのですものね。
これから従妹は好きな事で生きていけると思うと私も内心ほっとしました。今後の彼女の人生を心から応援したいと思っています。
サンクコストバイアスの具体的な例:その2「コンサート会場に来たもののチケットを忘れたことに気がついた!」
半年前に必死の思いをしてやっと取れた大好きなアーチストのコンサートのチケット。
しかも通常の半額の1万円で買えました。席もアリーナで最高の条件です!
しかし、当日なんとチケットを忘れてしまいました。
が、運よく当日チケットが通常価格の2万円で売られています。
ここで支払うとトータルで3万円の出費です。会場までの交通費も1万円かかっていて帰るのにまた1万円かかります。
「どうしよう・・・見るか帰るか・・・」これがサンクコストバイアスです。
予約ではなかなか取れないチケットだし、往復の交通費も必須です。
冷静に判断すれば先に支払った1万円は考えず当日券を買うべきですよね。
ここで帰ってしまえば、せっかく行ったのに大好きなアーチストに会えなかった、という後悔が残ってしまうわけです。
私なら大好きなアーチストに会っておかないと絶対悔やむと思うので、お財布はちょっぴり痛いけど当日券を買うと思います。
当日の体験は後日良き思い出として残り、その時のチケット代のことなんて思い出しもしないと思うんですよね。
サンクコストバイアスの具体的な例:その3「本を買って読んではみたけど面白くなかった」
本を1500円で買ってみたけれど、途中まで読んでみたら面白くなかった。
せっかく1500円払ったのだし、もったいないから続きを読む、
というのもサンクコストバイアス。
これは私もしょっちゅう経験あります。
面白くないのに読み続けるのは私はハッキリ言って時間の無駄だと思うので、すぐに読むのを辞めます。
別の面白い本にすぐスイッチした方が今を楽しめますし脳が喜びますからね。
サンクコストバイアスの具体的な例:その4「このコートめちゃ高かったから捨てられない、どうしよう・・・」
また、片付けで言うと高かったから捨てられない、というのに当てはまります。
冬の毛皮のコートを10年前に20万円で買ったものの、暖冬で殆ど着る機会がなかったとします。
でも10年前と今では自分の好みも変わっているので着ることはないかも・・・と思い始めています。
「高かったしなぁ、、、極寒の冬がまた来ないとも限らないし・・・」
これもサンクコストバイアスです。
私も経験あります。
生地はキレイなままでちっとも傷んでいないし新品同様。でもその頃は、まだメルカリのような便利なものはありませんでした。
しかしその頃でさえ、安くてもっと暖かく軽くて良いものが沢山出回っていました。
第三者から見たら、着る機会が来ない方が確率が高いので、手放すべきと考えますよね。
その頃はホントに捨てるのがもったいなくて悩みに悩んだ挙げ句、手放した記憶があります。
サンクコストバイアスの具体的な例:その5「学生時代の友達と繋がっていたいけど価値観が変わってしまった」
それから人間関係にも当てはまります。
学生時代は仲が良くても、就職したり結婚したりすると周りの環境も変わり、お互いの価値観が変わっていく場合がありますね。
でもSNSでなんとなく繋がっているし、縁は切りたくないと思っているので、誘われたら断れないケースもよくあるパターンです。
これもサンクコストバイアスです。
学生時代の友人から誘われた場合、今本当は自分はやりたい事もあるし、自分の本当に会いたい人は別の人です。
だから断るべきなんですよね。とは言っても相手をがっかりさせたくない、という思いはつきまとってしまいますね。
サンクコストバイアスの3つの解決法
でも、人生は有限なので何とかしないとなりません。
サンクコストバイアスの解決法の1つ目は、常にゼロベースで考える、というのが基本です。
そして 勇気を伴うあきらめ も肝心です。
つまり迷ったら 一度白紙に戻してみる という事です。
今まで費やした時間・労力はなかったと思って、これからもやりたいかどうかを判断します。
繰り返しますが、人生は有限ですから重要な順にやらないと後悔してしまいますものね。
サンクコストバイアスの解決法の2つ目は、期限やルールを決める ことです。
片付けでもよく使う、洋服だったら1年着なかったら手放す、みたいな感じです。
自分で最初にルールを決めておけば、その都度決断するための脳の消耗を防ぐことになります。
そして、サンクコストバイアスの解決法の3つ目は、新しいことが入ってくるチャンスはいくらでもあると思う ことです。
私は数年前に 時間の流れは過去から未来ではなく未来から過去に流れる ということを学びました。
よくよく思い返してみたらその通りであることが実感できました。
私のケースですが、例えば英語のオンラインコースでとても魅力的な内容のものが販売されていました。「このコースはこの価格では2度と手に入らない」 との文言が書いてありました。
私は 広告のキャッチコピーに心が動かされる という弱い部分があります。つまり売る側の戦略にまんまと乗せられてしまうんですね。
その時は忙しく勉強する時間がなかったので迷いましたが、払えない金額ではなかったので今買えば節約になるかもと思い、思い切って買ってしまいました。
でも、結局手付かずで半年が過ぎ、そろそろやろうかなと思った時は、またその講座がパワーアップして宣伝されていたんです。しかも同じ値段で。
必要であればチャンスはいつかやってくるので、今は時期じゃないと思ったら手を出すべきではない と学習しました。
「断捨離のもったいない気持ち」はサンクコストバイアスで解決できる(まとめ)
やりたい事があったり、こんな風に生きていけたらいいな、と思っているのに、なかなか自分の思った方向に舵を切れないのはサンクコストバイアスのせいです。
もう必要がないと思っていても、今までかけたお金・時間・労力などが回収不可能になるため「もったいない心理」が働いてしまうのです。
もったいないからという理由で、
自分の本音を殺してこれからも生きていっていいのか、
なんか後悔しそう、
死ぬときに残念な人生だと感じそう
と思ったら、
今サンクコストを諦めて勇気を持って手放すことが必要です。
そして手放したら 自分が一番の味方でいる こと。
モノでも人間でも断捨離をしていて「もったいないなあ」と思ったら
1 常にゼロベースで考え、今白紙状態だったらどうするかを考える。
2 期限やルールを決め、大事な人生の時間を無駄にしない。
3 新しいこと・やりたいことは未来からどんどんやってくる。
時間の流れは未来から過去に流れているので、今を大事にして行動する。
いかがだったでしょうか?
断捨離で迷った時に少しでも助けになれば幸いです。
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